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神谷は行き交う車の間に見える寂しそうな空の後ろ姿をただ見つめていた。
阿蛇川公園
住宅街にある極平凡な公園。
滑り台やブランコ、トーテムポール、砂場など幼児が遊ぶ定番の遊具が公園内に配置されている。
今はもう子供の姿は無く、宏と神宮寺だけが夕陽をバックに少し小さめなベンチに腰掛けているだけだ。
宏は神宮寺にここへ連行された。
「部長、いきなりなんなんですか。
こんなところへオレを連れ出し、イヤ、連行して」
「影山どうしちゃったんだろうね?」
夕暮れの空を突き抜け、遠くを見上げながら神宮寺は言った。
「そりゃあ…………」
宏は答えに困った。
いつも明るくマイペースな神宮寺がこんな表情を見せたのは過去に一度しかなく、正直どう言ってやればいいかわからなかったからだ。
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