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施設の雰囲気はどちらかというとジメジメとしていた。 誰もが望んで施設に入った訳でもないし、皆それぞれに辛い過去を抱えて入って来るからそれが自然な形だった。 そんな施設で神宮寺は昔から風のような子だった。 ジメジメした雰囲気を吹き飛ばし、マイペースに周りを巻き込みながら笑顔の風を吹かせてくれる。 どうしてこんな子供がこんな施設にいるのか不思議なくらいだった。 というのも、神宮寺には希望があったからだ。 神宮寺は早くに父親を亡くし、母は神宮寺といつか二人で一緒に暮らすことを夢見て遠いところへ出稼ぎに出かけていた。 『お母さんがきっと迎えに来る』 その希望が神宮寺の身体に満ち溢れ、風を吹かせていのだ。 しかし、悲劇は突然やって来る。 神宮寺小学校4年生の冬の日。 外は皮膚を突き刺すように寒く、前日から積もった雪が校舎を埋め尽くしていた。
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