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少年の雰囲気に圧倒され、神宮寺は声が出せなかった。
「君はいつまでも泣いてるような人じゃない。
僕と違うものを持っている。
君みたいな人は悲しい時こそ笑うものだよ」
少年は笑った。
一体この人は私の何を知っているのだろう。
どうして私をこんなにも安心させてくれのだろう。
極寒の地に太陽が顔を出し、氷を徐々に溶かしていく。
不思議な暖さに満ちた少年の笑顔に神宮寺も笑った。
それを見ると少年は後ろを向き、歩き出した。
「待って!
あなた、名前は?」
少年は立ち止まり、顔だけを神宮寺に向けた。
「影山剣」
そう言うと、再び影山は歩き出した。
神宮寺は急いで影山の後を追う。
公園の生け垣に影山の姿が隠れた。
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