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「チッ!」
神谷は一度舌打ちをして家に入った。
オレにはやらなきゃいけないことがある。
今はそれに集中しなければいけない。
そう心の中で自分に必至に言い聞かせた。
「おぉ、帰った」
少女とこの前まで死人みたいだった男が神谷を迎え入れた。
「アンタ、傷はいいのか?」
少し驚きながら、神谷は聞いた。
「えぇ、お陰様で」
男は頭を下げる。
「アンタには色々と聞きたいことがある」
神谷がそう言うと、男は顔を逸した。
「残念だな。
コイツには記憶が無い」
少女は言った。
「何だと?」
「嘘だと思うか?
もし、男に記憶が戻ってたなら、今頃お前は……」
少女は口を閉ざした。
クソ、せっかくのSEROについての手掛かりが。
「申し訳ない」
男は頭を下げた。
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