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「別にいいですよ。
傷が完治するまでなら狭いけど、オレの家にいてもらって結構ですから」
神谷は言った。
「かたじけない。
あの、夕飯の用意しておきましたのでどうぞ」
男に連れられ中に入ると、神谷が見たこともないようなご馳走が広がっていた。
定番の海老フライから、おしゃれなパスタまで洋食を中心に様々な料理が顔を並べる。
「凄いな。
これ全部あなたが作ったんですか?」
「はい。
作り方だけはなぜかわかるんです。
ただ、自分が今までどこにいて何をしていて、誰と一緒にいたのか全く覚えていないんです」
男は言った。
「ほら、さっさと食うぞ」
少女は既に席につき、フォークを手にしていた。
神谷も男も席につき、久し振りのご馳走に舌鼓を打った。
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