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ブルブルブルブル。
携帯のバイブで一旦、会話は遮られた。
神谷はポケットから携帯を取り出し、それが定秋からの着信だとわかった。
《全ての準備は整った。
僕は暁に残り、お前の指示を待つ》
「予定よりだいぶ早いな。
出雲の方も配備は完了したか?」
《あぁ。
ところで、本当にやるんだな?
今度は本当に血が流れるぞ》
「やるさ」
その一言の重みを神谷も定秋も重々承知していた。
これからきっと沢山の人が死ぬ。
しかし、どんな犠牲を払ってでもやらなければいけないことがあるのだ。
託された願いを叶えるために……。
《わかった。
では、明後日。
ツーツーツー》
電話は切れた。
少女はこちらを見ていた。
哀れみとも憎悪とも違う。
その先にあるもっと虚無に近いような目で神谷を見ていた。
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