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「雪(セツ)姉っ、早く早く!!」
「あ、ちょっと!こら、彩ってば。雪は待ってくれるんだから、もうちょっと気長に…はぁ。」
今は冬。
辺りは未だに降り続ける雪に覆われ、ほとんどが真っ白である。
東京に住んでいる雪達にとっては、こんなに降るのは久しぶりで、大人達はその後の、雪掻きの事や、道路交通情報ばかりを気にしていた。
彩も、そのはしゃぐ子供の一人である。一人で楽しそうに何かを作っている彩を、雪は微笑みながら、近くのベンチに腰を下ろしていた。
(父さん達は頑張って働いてるっていうのに、私達はこんなことしてていいのかな。)
はぁ。と、先ほどから雪はため息をつくばかりである。
雪はこうみえてもかなりの努力家だ。そして、彼女は何事にも他人優先である。本当は、散歩なんかしたくなく、親の仕事を手伝いたかった。だが、彩が行きたがっているのに放っておけるはずもなく、行動をとった。
内密的に言えば、本当は雪達の両親達は、二人をいつも手伝ってくれていたのもあったから、遊んでいってもらいたかったのである。
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