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(お父さんにお母さん…大丈夫かなぁ)
キャハハと楽しそうにしている彩を見つめながら、考えている事は親の心配のみであった。
「うわぁっ!」
突然、ちょっと離れた所から、彩の叫び声が聞こえた。が、雪は身動きもしない。
「雪姉!ちょっと来て!!」
ぐいぐいと彩は雪の服の裾を引っ張っていた。考え事をしていた雪は、全く気付かず、ただ何処かをぼぉっと見つめているだけだった。だがそんな様子に気付かない彩は、もう一度雪の名を呼んだ。
「雪姉ってば!」
ようやく雪は彩に気づいたのか、はっと顔をあげた。
「何?どうしたの、彩?」
「ひっ、人が空から降ってきて、僕の雪だるまのう、上にっ!!」
「はぁ?」
雪は、自分でも情けない声を出してしまった。だが、あまりにも彩が動揺しているので、まさか。と思いつつ、彩を先頭に、その場へと急いだ。
そしてこの選択が、後に大きな事へと発展するとは、雪はまだ知るよしもなかった。
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