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「雪姉、早く早く!!」
「わ、分かったからっ。彩、ちょっと待っ」「ほらっ。この人!!」
雪の言葉に言葉を覆い被せた彩は、その場所を指差した。
「何処に…………あ。」
その指差す方向へと視線を向けた雪は、目を大きく見開いた。
確かに、潰れた雪だるまの上に、人が倒れている。それも―
「着物?」
なぜ、今のこの時期に着物なのだろうか。
だが、今はそれどころではないと判断した雪は、危ないが、彩に親を呼んでくるよう頼んだあと、その人の元へと駆け寄った。
見事に綺麗な青年である。
その容姿端麗に目眩が起きそうなところだったが、我にかえった雪は、戸惑いもせず、その青年を抱き起こした。
「だっ、大丈夫ですか!?」
「…………っ。あ、貴女…は……」
一瞬意識がないのかと思っていた雪は、ほっと一息ついた。
「よ、よかった!ごめんなさいね。今私の親が来てくれるはずよ。だからそれまでもう少し辛抱……あれ?」
雪は少年の異常に気づいた。
息がとても荒い。そして、彼の体温がとても熱いように感じた。
「だっ、大丈夫!?」
「っ。はぁ…はぁ…助けて、くれ、て…あ、ありがとうござい、ます。」
一度上半身だけ起こそうとしていた青年だったが、気力がないのか、直ぐに力は抜け、そしてそのまま深い眠りに落ちていった―。
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