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『へへっ!雪姉のばぁか』
『何よ、彩だってさっき転けたでしょう?』
(なんだ、これ…)
沖田の目には、見たことのない衣服を着た少女と少年の姿が写っていた。自分の姿は見えていない。いや、そういうよりかは、自分の存在が今何処にあるのかでさえ、分からなかった。
状況を把握する前に、また場面は変わった。
今度は、先ほど出てきた雪と呼ばれた少女が、なぜか黒い服を着ながら泣き叫んでいた。おそらく、
『お父さん、お母さん!!彩!!』
『いや…いやよ…逝かないでっ!!!私を一人にしないでっ。』
(葬…式?)
あれだけ元気だった二人が、今は嘆き悲しんでいる。沖田の胸が、チクリと傷んだ。
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