墓参り

3/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
Aさんはみんなに追い付こうと必死に走りましたがなかなか追い付きませんでした それどころかなかなかお墓に出ないのです おかしいな焦って道でも間違えちゃったのかなと不安に襲われた時 急に寒気がしました 悪寒が全身を包み何か分からないけどヤバいとAさんは直感しました 早くここから出ないと危ないと思い みんなのことは諦めて来た道を戻ろうと思い後ろを振り向いた時です Aさんの目の前に髪の長い女が立っていたのです Aさんは恐怖のあまり絶句してしまい足が竦んで動けなくなってしまいました Aさんは目をつぶって心の中で助けて助けてと叫びました しばらくして目を開けるとまだ女は目の前にいました しかしAさんは様子がおかしいことに気付きました 目の前の女はなぜかAさんの方を見ずにずっと上ばかり見ているようでした Aさんの後ろにはちょうど樹齢100年の大木がそびえ立っていました Aさんはふっと亡くなったお祖母ちゃんの話を思い出しました それは樹齢100年も経つと木だって不思議な力を持つんだよと言う話です もしかしたら後ろの木が私を守ってくれているのかもと思い 前にいる女を見てみました するとやはりAさんの方を見ずに後ろの木を見上げています やっぱりこの木が守ってくれてるんだ お祖母ちゃんの言う通りだと思いAさんは後ろを振り返ろうとしました と、その時 やめろ!! と女から女とは思えない低いうなり声が響きました Aさんはもう無我夢中になって助けを乞うために後ろを振り返りました その時です Aさんはすべてを見てしまいました そして理解したのです なぜ女が木を見上げていたのかを 木には男がぶら下がっていたのです 首を吊った状態で 男は恐ろしい顔で女を睨んでいました Aさんの記憶はそこで途切れてしまいました 気がついた時は病院のベットの上でした 後から話を聞いたところ親戚一同が墓参りを終え、家に帰ろうとしたところ途中でAさんがあの木の前で倒れていたと言うのです Aさんはあの話をみんなにしました すると親戚の中の一人の伯父さんが物憂げにこう言ったのでした あの木は昔首吊り自殺が起こった木でたまに出るのだと教えてくれました しかし伯父さんは最後に気になる一言を言いました でも首吊ったのは女だったけどなと……
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!