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――ガチャ。
「おはよー!!」
「お。なんだ、今日はやけに降りてくるのが早いな。」
「あら、ほんと!珍しい事もあるもんね。それにまぁ、オシャレしちゃって。」
私が早起きしている事がよほど意外らしく、2人して物珍しそうに私を見てきた。
「私だって早起きしようと思えばカンタンに起きられるんです~。」
それよりご飯何?と聞くと、トーストが焼けてるわよと言ってお母さんが私の朝食を用意してくれた。
うちはお父さんが一般企業で働くサラリーマン、お母さんがスーパーのレジでパートとして働くごく普通の一般家庭で、4人家族。
私の3つ離れたお兄ちゃんは、大学に進学するのと同時に自立したいからと、大学の側にマンションを借りて独り暮らしを始めた。
だから今は私と両親の3人住まい。ごくごくフツーの家庭だけど、温かい両親に囲まれて私は日々幸せな生活を送っている。
「あ、っと!私もう行くね!!
ごちそうさま。」
チラッと時計に目をやり出発の時間が押し迫っている事に気が付くと、慌てて食器を片付け、出かける準備をする。
「おう、いってらっしゃい。気をつけてな。」
「お父さんも、そろそろ家出ないとマズイんじゃないんですか?早く支度して下さいな。あ、智草!今日は遅くなるの?」
お母さんは軽くお父さんを睨み付けてから私に振り返り、そう尋ねてきた。
なるべく早く家に帰ると返事を返し足早に家を出る。
家の中ではやっと行動し出したお父さんと、それを早く早くと言って急かすお母さんの声が響いていた。
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