「害獣」

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大きな動物の行動に驚き喜んでいる時、ふと辺りを見渡した 辺りに石や刃物、危険そうな液体が散らばっていた 中には危なそうな薬品や、業務用のドリル、チェーンソー、斧等も転がっていた おそらく、人々が暴動の中で大きな動物を殺そうと試みた結果なのだろう 辺りの有り様とは裏腹に、大きな動物には外傷は見当たらなかった あれだけ人々が暴れ、凶器を浴びたはずなのに切り傷一つ付けられていなかった それを見て、僕は悟った もしかしたらこの生き物は、人間の力じゃどうにもならないのではないか 国が駆除を正式決定したが、どうするつもりなのだろうか そして、僕の頭に鋭い予感がよぎった 僕は勝手な解釈で、この大きな動物を無害な優しい生物だと思っていたけど本当に無害なのだろうか この生物の本心は誰にも分からない、いつ暴れるかも分からない たまたま大人しくしているだけの可能性もある だってこの動物の生態は誰にも分からないのだから 何故突然そんな物騒なこと感じたかって? それは大きな動物の変化を感じたからだ それは大きな動物が明日駆除されることを僕が伝えた辺りからだった 駆除されることを聞いてから、明らかに息づかいが荒くなったように感じたからだ そして大きな動物の背中から、 人間を捕らえて捕食出来るような鋭い牙が揃った触手が、今まさに音を立てて何本も何本も生えているからである 僕はさっきまで感じていた大きな動物への情は消え、変わりに恐怖と同時に激しい後悔の念に駆られていた メリメリと大きな音を立て生え続けている凶悪な触手を目の当たりにして、僕は一歩も動くことが出来なかった そして、ふと横を振り向くと 僕の思いを嘲笑うかのように、一本の触手が僕の目の前まで近づき大きな口を開けていたのだった
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