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ある日の下校時、いつも通り彼と他愛もない会話をしながら歩いていた
「友達が弁当忘れてさ、売店まで買いに行ったら財布も持って来てなかったみたいで、本当笑えるよねー」
「あ、そうそう、
こないだの模試全然駄目で、志望校変えろって先生に言われちゃって、ははは」
学校での下らない出来事をいつも彼に聞かせては、自分自身で爆笑していた
田舎の田んぼ道はいつも穏やかで、時折聴こえる鴨やカエルの鳴き声が私達に心地よい空間を与えてくれる
「部活も終わったんだし、勉強にも本腰入れないと後が大変だぞ」
彼は私の下らない話しに優しく微笑みながら聞いてくれていた
いつもと変わらない彼との楽しい時間が過ぎ、田んぼ道を抜けた交差点で二手に別れる
私は右、彼は左だ
「また私ばかり話しちゃってごめんね
じゃあまた、夜電話待ってるから!」
私が元気良く彼に別れを告げようとした時、彼は何やら微笑みながら私を呼び止めた
「おいおい、お前の独演会はいつものことだろ
それより、今日何の日か分からないか?」
「え?」
彼の問いに無い頭を使って考えるも、検討もつかない
「んー…
あっ、そういえば今日あのドラマの再放送の開始日だね!
あれ最終話見逃しちゃってさー、再放送は絶対見ないと」
「ああドラマかぁ、そうだったね
…って、そんなことじゃないよ」
私の回答に、彼は苦笑いをしながら頭を掻いた
彼氏から出された模試も全然駄目だったようだ
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