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「まあ、お前のそんなおおざっぱな所も俺は好なんだけどな」
「はい、これどうぞ」
そういって彼は手のひら程の小さな木の箱を手渡ししてくれた
「え?何これ」
私が不思議そうに箱を見つめていると、彼はやれやれといった表情で続けた
「今日は俺らが付き合って半年じゃないか
そしてこれはその記念日のプレゼント」
「あ、ああー半年か、もうそんな経つんだね
毎日が楽しくて全然気づかなかった、ごめん
ごめん」
半年の記念日を思い出せなかった私は、笑いながら苦し紛れにそう言い訳するしかなかった
「別にお前からプレゼント貰おうなんて期待してなかったから大丈夫だよ
強いて言えば、日々の思い出がプレゼントってところかな
独演会のチケット付きのね」
彼は寛大だった
そして冗談も私より上手だ
「いいから、開けてみてよ」
彼は私の目を見つめながら言った
「うん、じゃあ遠慮無く」
彼に促され、箱を開けると可愛らしい熊のオルゴールが優しく音を奏でた
「わあ、何これ可愛い、オルゴールのメロディは森のくまさんじゃん」
まあ、そんな高価な物じゃないけどね
田舎道をトコトコ歩く俺らにはぴったりだろ?
彼は嬉しそうな私を見て、得意気な表情でそう言った
「うん、高価なアクセサリーを貰うより気持ちが込められてて嬉しいよ、ありがとね!」
私は満面の笑みを浮かべてお礼を伝えた
そんな私を見て彼もまた満面の笑みを浮かべていた
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