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下校後に塾見学を終え、くたくたになった帰り道
私はため息混じりに過酷な現実をぼやいた
「思っていたよりも学力が深刻な状況だなぁ、これから大変だわ‥」
塾講師から現実を叩きつけられ、意気消沈としていた
塾契約のために、母親に車で迎えに来てもらっていたが、あまりの情けなさに一人で歩いて帰ることを選んだ
夕暮れの田舎道を歩く足取りも心なしか重く、カエル達が嘲笑うかのように合唱していた
親の了承を経て、これから毎日塾に通うことになり、散々な学力を叩き直されることとなるのだ
勉強そっちのけで部活に注いだ青春時代、元々勉強嫌いで能天気な性格だが、流石に受験を目前として努力する他無かった
それだけ今の学力が深刻な状況であり、恋人と遊んでいる余裕すらあるわけがない
落ち込みながらもふと彼の事を思い出し、罪悪感を感じていた
「私がバカなばっかりに、悪いことしちゃったな‥
誘いを断った挙げ句、これから会う機会も減るし」
塾見学が終わったタイミングで彼に今後の事をメールし、受験が終わるまではほぼ会えなくなることを伝えたのだ
連絡してしばらく経つが、彼からの返信は無い
「まあ、お互い受験生だし理解してくれるよね?」
田舎道を歩きながら、ふと彼から貰ったオルゴールを鳴らしてみる
オルゴールは優しく流れ、私は束の間の癒しを感じていた
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