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彼と過ごす時間は一瞬で
ゆっくりと歩いていたつもりだったけど、あっという間に私の自宅前に着いてしまった。
「今日は本当にありがとう
そっちも待ち疲れたでしょ?早く帰って休んでね」
「じゃあまた… 」
彼にお礼を言い、別れようと手を振った直後だった
突然彼が手を振っていた私の右手を取った
「え!?」
私が呆気に取られていると、彼は私の掌の中に何かを置いた。
「こっちこそ一緒に入れて楽しかったよ
俺のことは気にすんな、ってかお前こそ早く寝ろよな」
私に何かを握らせたまま、彼は手を振りながら足早に去っていった。
「な、何だったんだ…?」
私はよく分からないまま、彼と別れてしばらく立ち尽くしていた。
「そうだ、これ…」
ふと、右手に握っている何かを確認した。
私の右手の中にはちょっと高価そうな指輪が収まっていた。
「このブランド、結構するんじゃ…」
生まれて初めて貰う指輪に驚きながらも、よく見てみると指輪の裏側に2人のイニシャルが彫られていた。
彼のことだ、おそらくサイズもぴったりだろう。
戸惑いながらも、私は貰った指輪を薬指に入れた。
そして、家に帰ってすぐに、誰にも見られないよう指輪の上から絆創膏を巻いた。
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