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『え?俺が?』
『はい、貴方が社長の座に就くのであれば清美お嬢さんは筆頭株主になってもよいとの事です。』
………
まさかそこまでやってくるとは…
貴史は一緒に経営に携わる位の事は覚悟していたが、社長となると話しは別だ。
貴史は自分が社長になってもいい事は無いと伊藤に訴えたが、会社側ではこの人事は了承されているので心配は無いと一蹴された。
さらに伊藤はKDS本社社員の署名付きの嘆願書まで用意していた。
それを見た貴史は、KDSが本気だと思い知らされた…と同時に逃げ道が無い事も悟った。
『時間が無いのはわかりますが少し考えさせて下さい。返事は清美の方にしますので…』
貴史はそう言うのが精一杯だった。
答えは一つしか無いと薄々気付いてはいたが…
-他に条件は無いのか?-
伊藤が帰った直後、貴史は清美にメールした。
すぐに返信されて来たメールには結婚を確約するのも条件の一つだと書いてあった。
『政略結婚みたいな感じだな…』
そのメールに対し貴史が清美に送ったメールには…
-俺は清美が好きだ。このままずっと付き合って行けば結婚する事になるだろう…でもこんな政略結婚まがいな事で決めたく無い、これ以上このような奸策を労するなら…-
敢えて最後は意味あり気にしたメールを送った。案の定清美から謝りのメールが送られて来た。
『暴走しなきゃ本当に可愛いのにな…』
貴史は深いため息を着いた…
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