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停学が終わってからの貴史と清美は多忙を極めた。
清美は校長(母)の説得にかなりの労力を費やしていたし、貴史は新社長の挨拶を考えては清美にボツにされるという連鎖を繰り返していた。
二人が社長と株主になったのは伊藤が貴史の家を訪れてから二週間が経った頃だった…
『~と、言う訳でこれからのKDSは社会的なイメージを回復させる事に重点を置き…~』
結局清美の書いた原稿を棒読みするだけの挨拶になったが、貴史は珍しく燃えていた。
成り行きでさらに対して期待もされてはいないだろうが、もし会社が倒産したら今目の前に居る社員達の生活に多大な影響があると思うと燃えずにはいられなかった。
『やってやるよ…』
いつもなら乗り物に揺られるとすぐ寝てしまう貴史だったが(赤ちゃんか?)帰りの飛行機でも一睡も出来なかった。
もちろんその横ではそんな貴史を見て更に惚れ直した清美の熱い眼差しがあった…
『清美、これから大変だと思うけど、頑張って行こうな。』
『はい…』
ここに高校生にして筆頭株主と社長というありえない肩書を持つカップルが誕生した…
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