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『ただいま~』
玄関を開け、清美のタックルに備えた貴史だったが清美とマーメイドはソファーに座ったままテレビに集中していた。
『どうした?』
清美達に近づきテレビが視界に入った貴史は驚愕した…
『またテロだね、幸い死者は出てないけど国家遺産が木っ端みじんだよ。』
テレビには大半が崩壊した寺らしき場所が映し出されていた。
『これで二日連続…』
『犯人は既に日本のトップ…もしくはトップに近い人間とコンタクトを取っているね。』
ティーカップを口に運びながらマーメイドが呟いた。
『なんでそんな事がわかるんだ?』
マーメイドはそれ位気付いてくれよといった感じでちらっと貴史を見た後部屋へと歩いて行った。
『おい!』
マーメイドを呼び止めようとしたところで清美が話しを始めた。
『貴史さん、まずこの事件、個人や小さい組織では無理なのはわかる?』
それくらいはわかる。
日本で一個人が爆弾を所持しているなんて考えられない。まして昨日は自爆した人がいる以上複数…それもかなり深い絆、もしくは思想を持っている集団だと貴史は考えた。
『仮にテロ組織だったらマスコミを通じて犯行声明を出すでしょうしそこで何かしらの要求を言うはず。』
『それが無いと言う事は既に交渉に入っている可能性が高い…もし入ってなくても今日中には何らかの手段で交渉に入ると思って間違いない。』
『でもちょっと強引な気が…』
『今日の事件で確信できました。国の対応が早すぎるとは感じませんでしたか?私はすぐに犯人と国の間で何らかの接触があったと思ったんだけど…』
確かに…清美の話しだと各メディアで避難勧告が出されてから数10分の余裕があったらしい。事前に知らなくてはテロを予測するなんて出来ないだろうし。
『とにかく…これで世間の批判は政府に集中する事は間違いない。となると犯人と接触を持った人間は責任をとらされて辞任する可能性が高いわね…』
清美はいつになく真剣な表情で貴史の部屋へと消えて行った。
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