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その頃
総理官邸に大臣クラスを召集した総理はテロについて今後の対応を検討していた。
『問題は山下国防長官の対応が遅かった事だと思いますが…』
各官僚の意見は一致していた。
事実、彼が最初のテロが起きた時に問題提議していれば京都のテロを阻止出来たかもしれない。
『しかし彼らの要求…経済支援と武器、弾薬の譲渡を承認すれば我が国はテロ支援国家として世界中の国を敵に回す事になる。』
『脅迫された時点でその話しをして貰わないと…事が起きてからでは遅すぎる。』
様々な会話が飛び交ってはいたが、具体案は何も出ないまま時間だけが過ぎていった。
『とにかく…山下長官には何らかの責任はとって貰わなければ国民は納得しないでしょうな。』
責任…回りくどい言い方だが、ようするに辞めろと言う訳だ。
『わかっている…もう会見の用意はさせてある。』
山下長官はこうなった以上、覚悟はしていた様で犯行グループの事で知りうる限りの事を話し官邸を後にした…
『連日のテロでノアから捜査員が送られてくる事になっている。本日中には東京入りするそうだ。』
『総理は場所を知らないんですか?』
『ああ…テログループに情報が漏れる事を防ぐ為の対策だと聞いている。』
犯行グループは国防長官とコンタクトを取っていた事を考えると当然の対処だと言えるだろうが、官僚達は納得していない表情のまま総理の言葉を待った。
『今私達が出来る事は警察、自衛隊に治安を強化させる事だけだ…国防長官が不在の今、私が会見を開いて国民にテロには屈しない旨を伝えよう。』
その頃、テレビはどのチャンネルも山下国防長官辞任のニュースが放送されていた。
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