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『事件の事を少し尋ねただけで海外へ飛ばすとは…やはりノアも一枚噛んでいると見て間違い無いだろうな。』
三浦からの通信を終えたイカロスはここらが潮時と感じたのだろう。手早く自分の持っているデータをまとめるとノアの個人データ(自分の)を消却し姿を消した…
一方マーメイドは幾重にもロックの掛かったノアのデータバンクの解除に苦しんでいた。しかしいくら特務機関とはいえここまでのセキュリティは尋常じゃない。
マーメイドはパソコンの画面を見つめながらため息をついた。
『ここまでしてるんだからそれに見合った情報があればいいけどね…』
ティーカップを片手にいつ終わるかわからないロックの解除をひたすら待つしか出来る事はなかった…
その頃清美と貴史は東京駅近くのファミレスで伊藤と笠木の到着を待っていた。
『なあ、待ち合わせの時間は何時なんだ?』
貴史はジュースだけでファミレスに長居した事が無く、店員の視線が気になっていた。
『ん?夕方の5時にここに来る事になってるから後1時間位かな?』
清美の方は店員の視線など気にもしていない様子で携帯をいじっていたが、おもむろに席を立った。
『どうした?もう来た?』
よほどこの状況が嫌なのだろう、貴史は周りをキョロキョロ見回しながら清美に尋ねた。
『いや…ちょっと…』
清美は曖昧な返事をしながら手洗いの方へと歩いて行った。
『トイレか…早く伊藤さん達来ね~かな。』
貴史がぼやいていると一人の男性が入店して来た。その男は一人にも拘わらず貴史と清美の座っている4人掛けのテーブル席があるコーナーへ歩いて来ると、貴史の後ろのテーブル席に貴史と背中合わせに腰掛けた。
-ただでさえ落ち着かないのにまた変わった奴来ちゃったよ…-
貴史は早く清美が戻って来る様に全神経を集中して念力を送ってみた…が、効果はなかったみたいだ。と、その時…
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