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『これ以上首を突っ込めば命の保証はしない。』
!!!
なんだいきなり…
突然の出来事に混乱する貴史だったがなんとか冷静に
『なんの事ですか?』
貴史は後ろを振り向く事が出来なかった…
相手もこちらを向いていないとは思うが、振り向いたらただじゃ済まない…低く、重い感じの声に貴史は萎縮してしまっていた。
『こっちは京都からついてきたんだ、しらばっくれるのはよせ。』
まさか…本命(テロ組織)か?
いくら捜してるからっていきなり出て来られてもまだ心の準備が…
貴史は携帯を静かに開きカメラモードを起動させた。
『我々もお前みたいな子供に付き合っている程暇じゃない、今日は忠告で終わらせるが次は無い。』
男は立ち上がり足早に出口へと歩いて行った。
気配が消えた事を感じた貴史は男の後ろ姿をカメラで撮影した。
追い掛けたほうがいいか?とも思ったがリスクが大き過ぎる。
追い掛ける位なら戦車に竹ヤリで踊りながら突っ込んでいくほうがまだマシだ。
ほんの1~2分位の出来事だったが、かなり長時間に感じられた貴史の顔は汗でビショビショになっていた…
『ごめんなさい、待った?』
席に座った清美も貴史のただならぬ表情に気付きなにかあったのか尋ねた。
テロ組織のメンバーらしき男から忠告を受けた事を清美に話すと流石に驚いた様子だった。
『とにかく貴史さんが無事でよかった。』
ホッとする清美に貴史は携帯の画面を見せた。
『この男?』
清美は携帯の画面をみながらあんな状況で後ろ姿とはいえカメラを使うという行動を選択した貴史の度量に感心した…が、同時に怖くもなった。
もしこの事に向こうが気が付いたら今貴史はここにいなかっただろう…
自分が目を離した間に貴史に万が一の事があったらお義父様とお義母様になんとお詫びしたらいいか…
もはや一時も離れる事は出来ない、一秒たりとも目を離さない事を固く心に誓う清美であった…
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