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ホテルを出た彼女は先程入手した貴史の携帯番号を素早くプッシュした。
プルル…プルル…
四回目のコールが終わると同時に彼が電話に出た。
『誰だ?昼間のスーツか?』
非通知でかけたから間違えられてもしょうがないか…
でも素性を明かしても信じて貰えるかわからないし…
『そうです。私は彼の仲間です。』
間違えてるならいっそ犯人になりすましてこっちに来て貰った方がいいと彼女は考えた。
『これ以上被害を出したくなければ私の言う事を聞いて下さい。』
向こうは暫く黙っていたがYESと答えるしかない。
『要求はなんだ?』
あら?下手に出て来ると思ったのに意外と強気ね…
まあ彼がFEATHERってとこのメンバーなら場慣れしてるって事か。
『今から私が指定する場所にこのまま電話を切らずに一人で来て下さい。』
一度でも電話を切られると誰かに相談されるかもしれないからとりあえず封じさせてもらっときますか。
『わかった。場所は?』
『私は今×××××ホテルの一室に居ます。とりあえずそのホテルのロビーに来て下さい。』
電話をしながら彼女はさっき出たばかりのホテルのロビーへと向かい入口が見回せるソファーに腰掛けた。
『俺をどうするつもりだ?』
流石に不安になっちゃったかな?
『心配しなくても命を奪ったりはしません。指示に従って貰えれば命は保証します…しかし…』
彼女は意味ありげに語尾を濁した。
『従わなかったらどうなるんだよ?』
『白石清美さん…かわいらしい女の子ですね…』
これで彼は小細工をするなんて事は完全に出来なくなるはず…
『このまま電話を切らずに行けばいいんだろ?わかったから清美に手を出すなよ?おい!頼むぞ!』
あらあらそんなに彼女の事が好きなんだ?
ここは敢えて無言で彼の到着を待つ事にしますか…
それから数十分…
息を切らせてロビーに駆け込んで来る貴史の姿を彼女は確認した。
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