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『矢田貴史さん。今日は貴方にお願いがあって来ました。』
なんだ?お願いって…
油断させて上がり込む作戦か?
あれこれ考え込んでいると、伊藤の方から話し始めて来た。
『疑われるのも無理はありませんが、こちらにはもうなりふり構っている余裕が無いんです。どうか話しだけでも聞いて貰えないでしょうか?』
伊藤の表情は嘘をついている様には見えなかった…
貴史は迷ったが、このまま画面越しに話していてもラチが明かないのでとりあえず外に出る事にした。
人目があれば万が一の事態になってもなんとかなるだろう…
伊藤にエントランスで待つ様に言い、貴史は素早く身支度を整えると、近所の喫茶店へと向かった。
『いらっしゃいませ』
ん?この女の子どこかで…
あ、うちの高校の子だ。まあ停学は明日からだし見つかっても問題は無いだろう。
二人は一番奥のテーブルに腰掛け、アイスコーヒーを二つ注文した。
『で、お願いってなんですか?』
貴史が尋ねると、伊藤は急に思い詰めた表情になり、ゆっくりと口を開いた…
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