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『…。』
マーメイドは少しの間メモを見つめた後、その紙をクシャクシャにしてポケットへしまった。
『どうした?』
明らかに不機嫌になったマーメイドに貴史は無駄だと思いつつも尋ねてみた。
『いや…なんでもない…竜、私はそろそろ帰る、連絡はそのパソコンにしてくれ。』
ティーカップをテーブルに置くとマーメイドは社長室を後にした。
『貴史さん、マーメイドを送ってあげて下さい。』
『わかってる。』
貴史は社長室を出るとマーメイドの横を並んで歩いた。
『彼女にはどこまで話した?』
貴史に目を合わせる事もなく、感情の入っていない気の抜けた声でマーメイドは貴史に問い掛けた。
『いや、何も…お前自分の事知られるの極端に嫌うからな…』
貴史もマーメイドと目を合わせる事なくエレベーターに向かって歩いた…
『ありがとう、くれぐれも私の事は喋らないでくれ。』
エレベーターの下のボタンを押したマーメイドは少し安心したのか表情に精気が戻った様に見えた。
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