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目を疑いたかった。これまで悪魔を相手にしてきたのだが、目の前を巨大な火の玉が通り過ぎるのだ。
タイミングを見計らい、火の玉が通り過ぎる廊下に出るが、次の曲がり角まで距離がありすぎる。
舌打ちをし、行く手だては無いか考えてしまうネロ。
「本当もぅ…何この城…ふざけんなよ…」
頭を掻き、顔を上げたネロに思い付いたのは、あのオブジェ。
『イチかバチか…!』
オブジェを盾にでもするのか、とりあえずオブジェだけを火の玉の通過点に殴り飛ばすネロ。
オブジェと火の玉がぶつかると火の玉は消え去った。
通れると分かれば、後はさっきみたくオブジェを移動させながら進み、武闘場へ続くドアに向かった。
「さっきまで暖かったから、外に行きたくねぇなぁ…」
などと呑気な事を言いながら、軽く体を動かすネロ。
「…凍傷にはなりません様にっ!!」
勢い良く武闘場に続くドアを開けると、その先は吹雪の闇。
「女の子…?」
闇に浮かぶ二つの青白い光をジッと見ると、女性の様にも見える。
『胡散臭いな。つか、さっきから半端無い臭いんだけど』
ドアを背中にして、吹雪を見つめていると、灯りの消え方がおかしい。
向かって左側が奥に灯りが続いているが、右側が途中で途切れているのだ。
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