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クレドと夫婦になって半年。出産予定日も近付き、普段通りに二人並んで就寝しているネロ。
その日不思議な夢を見ていた。
見覚えの無い、何処かの遺跡の様な塔の中に立っているネロ。それに対峙する様に立っているのは、ネロと同じ髪の色をオールバックにした、歳も然程変わらないであろう、青地に銀色で薔薇をモチーフにした柄が描かれたロングコートを着た男性。
『初めて会った感じがしない…』
不思議な感覚にとらわれていると、青いロングコートの男性はネロに近付き、膝ま付いた。
「あっ…あの…」
「これからもよろしくお願いします」
ネロの言葉を遮る様に、青いロングコートの男性は、一言挨拶をする。
「これから…?」
ネロが質問しても答える様子は無く、立ち上がり、ネロのお腹を撫でたかと思うと、グッと押されたと同時に目が覚めた。
「誰…今の…」
上半身を起こしながら、思わず呟くネロ。
「…いった!!」
腰に来た痛みに声を上げてしまうネロ。半分夢見心地だったが、それすらも吹き飛び、冷静に判断出来る様になる。
「ぅあ…痛ぃ……あぁっ!」
前屈みになって破水していた事に気付き、慌ててクレドを叩き起こすネロ。
「痛…クレド!ねぇ!クレド!!」
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