新しい家族

4/10
前へ
/102ページ
次へ
破水した。って叩き起こされて…」 「初めてのお産ですよね?」 「ま、まぁ…」 廊下で話をしていると、病室からまた痛がるネロの声が聞こえてくる。 「うあぁあっ!あぁっ!あっ!」 「ネロ!」 病室に駆け込むと、怖がる様な不安そうな表情をクレドに見せる。 「はあっ、はぁ…クレド…頭、出そう…ぅんんっっ!」 その言葉に驚いた病院の先生がネロの下半身の毛布を捲り、様子を見る。 「大変…頭見えるわ…  奥さん、呼吸を整えて。私と一緒に」 先生のする呼吸を真似るネロ。クレドはネロの手を握り、ただ側に居ることしか出来ない。 「奥さん息んで!」 何度目かの息みで慌ただしい中、病室に産声が響く。 「奥さん、おめでとう。銀髪の男の子ですよ」 疲れと安堵でぐったりしてしまっているネロだが、産まれたばかりの我が子を見せてもらうと、笑顔が溢れる。  何とか無事に出産も終わり、病院の待合室でコーヒーの入った紙コップを片手に考え事をしている所に、荷物をまとめたキリエがやってくる。 「その様子だと産まれたみたいね」 「男の子だったよ」 キリエも来て、ネロが居る病室に向かう二人。 「ネロ、お疲れさま」 「キリエ。もぅ…死ぬかと思ったぁぁ~…」
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加