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破水した。って叩き起こされて…」
「初めてのお産ですよね?」
「ま、まぁ…」
廊下で話をしていると、病室からまた痛がるネロの声が聞こえてくる。
「うあぁあっ!あぁっ!あっ!」
「ネロ!」
病室に駆け込むと、怖がる様な不安そうな表情をクレドに見せる。
「はあっ、はぁ…クレド…頭、出そう…ぅんんっっ!」
その言葉に驚いた病院の先生がネロの下半身の毛布を捲り、様子を見る。
「大変…頭見えるわ…
奥さん、呼吸を整えて。私と一緒に」
先生のする呼吸を真似るネロ。クレドはネロの手を握り、ただ側に居ることしか出来ない。
「奥さん息んで!」
何度目かの息みで慌ただしい中、病室に産声が響く。
「奥さん、おめでとう。銀髪の男の子ですよ」
疲れと安堵でぐったりしてしまっているネロだが、産まれたばかりの我が子を見せてもらうと、笑顔が溢れる。
何とか無事に出産も終わり、病院の待合室でコーヒーの入った紙コップを片手に考え事をしている所に、荷物をまとめたキリエがやってくる。
「その様子だと産まれたみたいね」
「男の子だったよ」
キリエも来て、ネロが居る病室に向かう二人。
「ネロ、お疲れさま」
「キリエ。もぅ…死ぬかと思ったぁぁ~…」
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