39人が本棚に入れています
本棚に追加
冗談混じりにそんな言葉を並べるネロだが、子供をあやす様は、すっかり母親の顔をしている。
「可愛い~」
産まれた子供の顔をキリエが覗き込むと泣き出してしまい、びっくりしてしまうキリエ。ネロが軽くあやすと直ぐに泣き止む。
「宜しくってな。バージル」
「バージル?」
初めて聞いた名前に驚くクレドだが、ネロは軽く頷いて見せた。
「この子にはバージル以外似合う名前が無くて…
クレドが気に入らないなら、変えるけど…」
「ネロがそうしたいならバージルで良いんじゃないか?響きも良いし」
「そう。
良かったなバージル」
「宜しくね~、バージルちゃん」
キリエが指を差し出すと、しっかりと握るバージル。その可愛らしさにクレドとネロも笑顔になる。
退院の日、クレドは相変わらず仕事だが、代わりにキリエが迎えに来て荷物を持ってもらい、ネロはバージルを抱いて家路についていた。
「大変だなぁ…」
「そりゃあね」
病院で世話の仕方を色々と教わりはしたが、いまいち自信が持てないネロ。
「大丈夫よ。何かあったら隣のおばさんが、何でも聞いて。って言っていたし」
「頑張らなきゃ…」
腕の中に居るバージルの寝顔を見ると、不思議とやる気が出てくる。
最初のコメントを投稿しよう!