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高天井のエントランスにネロの足音がいやに響く。整然と並べられた椅子を横目に左手のドアに入るネロ。
いい加減聞き慣れた奇声にため息が出てしまう。
「…しつこいっての!!」
町中で嫌と言うほど見た悪魔が、束になって押し寄せて来る。
狭い場所での戦闘を得意とするネロは、足場がなさそうな場所すら足場にして高々と跳び上がり、相手の虚を突くのは教団内では有名な話だ。
現に今も僅何十ミリの出っ張りしか無い窓枠を器用に足場にしている。
「ラスト!」
残り一体となった悪魔をレッドクイーンで一刀両断にすると、隣の部屋にある階段から二階へと駆け上がる。
「!…っと…
床抜けてんじゃん…」
手前にある、見慣れた幾何学模様に乗ると、あの光る物体が現れた。
面倒そうに腰に手を当て、物体を見ていたネロだが、一気にエントランスのバルコニーへ続く廊下にたどり着く。
『光の壁…?』
丸で落下防止の様にバルコニーから噴き上げる光の壁。
以前はこんなものなど無く、壁を蹴り上げ二階に移動をしては、良くクレドから怒鳴られた事を思い出してしまうネロ。
「…邪魔くさいなぁ…」
悪魔から守る為に設置したのかすら知らないネロは、バルコニーをぐるりと歩き、反対側へとやってきた。
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