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『確か、これが特殊なスイッチだったよな』
壁に埋め込まれている紋章にレッドクイーンで打撃を加えていくネロ。
剣士になりたての頃、裏手の非常階段がある滝の前でカリバーンの素振りをしていて、間違えて発動させてしまった事があるのだ。その時はクレドから大目玉をくらい、別の場所で練習する様に言われたが、紋章には触らない様に素振りを続けていた。
「しゃあっ!」
最後に上から下にレッドクイーンを振り下げると、バルコニーの光の壁は消えた。
『これで移動が楽になる』
レッドクイーンを背負い、紋章の手前にあった通路に進むと、その先は一般人が立入を許されている資料展覧室。
普段なら寸分狂わず並べられているショーケースだが、今は悪魔が襲いかかってきた衝撃で乱雑に、ケースに皹まで入っている。
『…あのオッサンが?』
ネロの脳裏によぎるのは、赤いコートを着た、銀髪の殺人犯。同じ髪の色味にネロも多少嫌気がさす。
『オッサンも、髪の色は元から色素が無い感じがしたな…』
そんな事を考えていると、足は自然と一般的には開放していない蔵書室に向かっていた。
教団剣士であるネロは蔵書室への立入は許可されているが、今までこんなにも無造作に、乱雑に本が荒らされているのは見た事が無かった。
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