握る剣~ツルギ~

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「はあ…はあ……」 体全体で息をする。そうでもしないと酸欠でしにそうだ。 「あ…ありがとうございました」 「いいよ、幼なじみのよしみだ」 「え!?」 少女、イリアが目を丸くして少年を見る。 「うそ…まさか……レイド?」 「久しぶり」 レイドがニッと笑いかけると、イリアが勢いよく抱き着いてきた。 「良かった…良かったよぉ……」 レイドの胸を涙で濡らすイリアが酷くもろいものに感じて、ソッと細い体を抱き締めた。 「でもどうやって逃げたの?」 泣き止んだイリアの率直な疑問。それにレイドはグッと親指を立てて答えた。 「忘れたか! 村一番の臆病者とは俺のことだ!!」 「あ……あははは…」 すごい理由だが納得するほかなかった。 レイドはかくれんぼや鬼ごっこで常に無敗。大人達は説教する時にまず探さなければならなくて、そして見つからないのだ。 「でも…無事なら会いにきてくれれば良かったのに」 「ごめん。騒がれるの嫌いだからさ…」 嘘だ。 イリアはすぐに気づいたが、理由を問いただそうとはしなかった。 (あんな事があったんだもん。何を恐れてもおかしくないよね) 「とりあえずどこかに隠れよう。さっきの奴が…」 その先の言葉を完全に失ってしまった。 街が…燃えていたから。
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