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「っと…」
ぶつかってしまった。それほど衝撃がなかったことからして多分女の子…。
「いったたた……」
やはりそうだった。
腰まであるストレートの金髪と青い目の綺麗な女の子。
地面にはフルーツが散らばっている。
「ご、ごめん」
少年はすぐさまフルーツを拾いあげ少女に渡した。
「あ、こっちこそごめんなさい」
少女もまた誤って地面に転がっいる……先程少年が捨てた号外を拾った。
少年が落としたものと勘違いしたらしい。
グシャグシャに握り潰したつもりだったが少しほどけていて落とし物に見えなくもない。
「号…外?」
「ああ、さっき配ってた」
少年の説明を聞いているのか怪しいくらい少女の目が号外に集中している。
と言うより目が離せなくなったという雰囲気だ。
「う……そ…」
「え?」
少女の顔がみるみる内に青ざめていく。そして…
「いやああああああぁぁぁああああぁぁあああぁぁぁああああぁぁあぁぁぁああぁぁああぁぁぁっ!!!?」
少女は突然叫び、号外を投げ捨てて逃げ出した。
「え? え?」
残された少年に人々の視線が突き刺さる。
端から見れば少年が少女に何かしたようにしか見えないだろう。
「ちょっ!? 待って!」
いたたまれなくなった少年が少女の忘れていったフルーツを持って追いかける。
(な、なんでこんなことに…)
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