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「ど…どこ行ったんだ?」
キョロキョロと辺りを見回すと先程の少女が1人の赤い髪と赤い服の男に捕まっているのを見つけた。
「は、離してください!」
「そう言うな。聞きたいことがあるだけだ。私はゼクス・ラードナーという」
丁寧に自己紹介をしてきたことで少女は警戒を解こうとして…
「血染の魔王の情報をよこせ、イリア・ラングベッド。生き残りし少女よ」
再び身を固くした。
(生き残りし少女……。まさかあの娘が例の事件の──)
唯一の生存者?
「いや…」
「私が殺してやる。魔王を。仇をとるためだと思って情報をよこせ!」
「いや! 思い出したくない!」
少年はいつの間にか二人の間に立っていた。
「なんだガキ」
「………いくら何でも酷すぎる。あんたはそう思わないのか?」
「関係ないな。必要なんだよ、血染の魔王の情報が………魔王になりきるためになっ!!」
「っ!?」
とっさに後ろに飛び退くと、少年の首があった場所を男、ゼクスの剣が走った。
「チィッ!」
「なりきる? まさかお前が号外の…」
『大量斬殺事件! 犯人は血染の魔王か!?』
「俺が何人殺しても罪は全部魔王がかぶってくれるんだ! ひゃあはははははっ!!」
高々と笑う男。
その隙に少年は少女を抱き上げ、走り出した。
「てめぇ!?」
男が追いかけるが少年は土地勘があることをいかして差を広げる。
そして完全に男を振り切った。
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