塵よ積もれ、空に届け。

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汚いものに囲まれて 何が悪いのか分からない 「自分が汚れている事は 他の誰より私自身が知ってるよ」 そう呟く君は 鼻で笑う そうしてゴミ箱の中 淀んだ世界で 塵を掻き分ける 「時には窒息しそうになって 苦しくて、寂しくて 新鮮な空気を求めたりもしたさ …だけど、空は遠すぎた」 そう囁く君は、泣く事もなく ただ過去の自分を嘲笑う そうして彼女は罪を背負い、暗闇の檻の中 廃品回収車を待つように 「リサイクルされるの?」 「破棄されるの?」 ただ大人の判決に耳を傾けた この世界には数え切れない程の ゴミが溢れていて 夜空に輝く星々とソレは どっちが多いのだろう? きっと 空を見たつもりでいる大人は嘘をつくのだろう 私の耳にはもう 偽善や生温い言葉しか響かない 此処にいつか私の様に 「ゴミ」と呼ばれた奴らが溢れ出したなら それを踏み台にして、天へ昇れないだろうか 空を掴めないだろうか そんな悲しい願いを裂いて 彼女は醜い世界を思い出す あぁ 私はゴミ箱の中で生まれて ゴミ箱の中で死んでゆく 能力のある者だけがリサイクルされ いらないものは焼かれ続けて灰となり…やがて 生命の母なる海を埋め立てて殺し 大罪を背負い、地に堕ちてゆくのだろう そこに一欠けらの希望もない 暗闇の檻の中 ゆっくりと目を閉じた彼女は 静かに涙を流した 檻の向こう側で明ける夜 彼女が朝日に気付くのは いつになるのだろうか
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