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『たくっ、椿の奴どこ行った??』
小十郎は今どこに行ったのかわからない椿を捜している。客室、風呂、鍛錬所、小十郎の部屋、思い当たるところは全て行ったが未だに見つからない。手掛かりもないまま小十郎は廊下を彷徨っていた。廊下の右側には広い庭が広がっていて、月が大地を照らしていた。
『まさか逃げ出したっ、てのは無いな・・・・・・ん??』
今、何か聞こえた気がして、庭の方を振り返った。目の前には月に照らされた庭が広がっている。庭には高い木が何本かあり、美しい花も咲いているが今は全て花を閉じている。しかしまだ何か音、というより声が聞こえる。
ふと木の上を見ると何かの影が見えた。その陰はよく見れば人の姿をしていた。その姿は紛れもなく椿だった。
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