――始まりの風――

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土方はというと一人、局長の部屋へと向かっていた…。 「近藤さん、話があるんだが…」 土方は此迄の事を話した。 「私は構わんぞ。…しかし歳、珍しいな。お前からの推薦とは…」 「言ったろう…気に入ったのさ…」 ――何者にも臆する事の無いあの目がな…。 ――ククッ…総司と遣り合うのが楽しみだ。 近藤と土方の二人は道場に向かった。 其処では既に沖田と藤崎が打合っている。周りには誰もいない。 藤崎は確実に急所だけを狙っている。沖田は上手く受け流している。 ――総司のやつ…随分と楽しそうじゃねえか。 成程、彼は満面の笑みを浮かべている。 「貴方の様な闘い方、嫌いじゃないですよ」 そう言うと、沖田は反撃にでた。 先程とは表情が違う。 打ち込みが速い。 常人なら疾うに打たれて倒れているだろう。 藤崎は防戦一方だ。 …しかし、沖田相手では防いでいるのが奇跡の様なものだ。 ――相変わらず目は死んでねぇ、もう充分だ。 「総司、その辺にしとけ!」  
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