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沖田は何故止めるのかと言わんばかりに土方を見た。
そして…
「強いですね、久しぶりに楽しめましたよ」
藤崎に向き直り笑いかける。
「いえ、私では貴方の相手には不足な様で…、私の攻撃を全て受け流しておられた…」
藤崎は澄ましてはいるが、どこか悔しそうだ。
沖田はそんな反応を示してくれる彼を見ているのが嬉しくて堪らない。
「総司はな、此処では一、二を争う程強い。そいつと遣り合って意識があっただけでも大したものだ!!」
……大概は攻撃を防げずに、撃たれた痛みで倒れるか、力の差に絶望して気絶してしまう。
「貴方は…?」
彼と土方が先程からこちらを見ているのは多少気になっていた。
「私は近藤勇、此処で局長をやっている者だ」
そう言って男は藤崎に笑い掛ける。
――へぇ…この人が局長…。土方副長とは随分違うな…
近藤は威厳のある中にもどこか優しい顔をしていた。
己が局長の顔と名前をしっかりと記憶して、彼は丁寧にお辞儀をした。
「どうも、お世話になります。藤崎桜です」
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