いつもの朝

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「まずは今朝の遅刻について言い分を聞こうか。」 隊長室に着き、そこの主に最初に言われたのがコレである。 「いや~。遅刻したくてした訳じゃ無いッスよ?ただ、今まで溜まってた疲労に昨日の残業がトドメを刺しちゃった訳です。」 頭を掻きながら若干引きつった笑顔で答える。 今目の前で後ろで手を組み、窓の外を眺めながら俺の言い訳を聞いているのが、この特捜課の部隊長。つまり課長である<アルフレッド・フリステン>だ。 階級は1等空佐。 四十を過ぎているとは思えない体型をしており、一目で数多の戦場を駆け抜けてきた事がよく分かる。 正真正銘のお偉いさんであり歴戦の戦士である。 「たしかその言い訳は先週も聞いたような気がするが、私の気のせいかね?」 アルフレッドは鋭い目でこちらを一瞥すると何事も無かったようにイスに腰掛けた。 「そうでしたッスかねぇ?アハハハ…。」 頭を掻きながら微妙に冷や汗を流す。 どう頑張ってもこの人にだけは頭が上がらない俺。 「まぁいい。今更言った所で直る見込みも無いしな。」 最後に溜め息をついてデスクの上の書類に視線を落とす。 さっきまでは威嚇するような目だったが今度は真剣な眼差しになる。 室内がピリピリとした緊張感に包まれる。 「霧島3尉。我が隊の主要任務を言ってみろ。」 遂にボケたかと思ったが顔には出さず、こちらも真剣に答える。 「犯罪を犯した局員を取り締まるのが主たる任務であります。」 俺は直立不動の姿勢で模範的回答を言う。 「正解だ。だが、もう一つ。非公式ではあるが任務が存在するな?言ってみろ。」 書類から視線を俺に戻し、再び質問する。 「我々特捜課は機動課でも対処する事が困難な古代遺失物、通称ロストロギアが現れた場合。それの封印、或いは破壊も任務の内に組み込まれています。」 俺の答えを聞いたアルフレッドは背もたれに寄りかかり、満足そうに頷く。 「お前でもこれ位は覚えているのだな。感心だ。」 全くもって一言多いオヤジだ。 でも、そんな文句を口に出さない俺って素晴らしい。 などと頭の中で自画自賛していると 「では、その両方に引っ掛かる事件は?」 「第11号事案。」 即答だった。 と言うよりそれしか思い当たらなかった。 俺と因縁浅からぬあの事件しか。
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