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「さて、今日はこの辺でいいかな…?」
玉依がクワをトスンと地面に突き刺す。
土はきれいに耕されている。
夏の日差しが容赦無く照り付ける。
「さて、ご飯の支度でもしますか」
額の汗を拭き取り、先に収穫した野菜が入ったカゴを抱えて、戻ろうとした時…。
何か物音が聞こえた。
それは、畑の向こう。
神社の裏手はだだっ広い森が広がるだけ。
「熊…じゃないよね…」
玉依は少し腰が引けながらも、音のする方をじっと見つめる。
…ガサガサ
…ガサガサ…
それは段々とこちらに近付いてくる。
玉依は、じっとそのまま動かなかった…むしろ、動けなかったというのが正しいか。
いよいよ音が側までやって来た。
玉依は覚悟を決める。
手にクワを持つ。
そして、目の前から何かが飛び出して来たと同時に、一気にクワを振り下ろす。
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