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『ぎゃああぁあぁああぁっ!』
辺りに絶叫が響く。
周りの木々がその声で、ザワザワとざわめく。
『な…何をするのじゃっ!わ…童(わらは)をいたぶるつもりか!』
「…へっ?」
玉依のクワは、少女の足元にグッサリと刺さっている。
『わ、童にいきなり一撃をくらわそうなどと…ヌシ、意外とやりおるわ!』
「いきなりとは失礼ね。そっちこそ、人を怖がらせておいて…!」
再びクワを構える玉依。
少女は、その鬼気迫る気配に後退りする。
『わ、童を誰と心得るかっ!童はあま…っ!』
言い終わるか言い終わらないか。また足元にクワが刺さる。
「問答無用っ!どうせ野菜泥棒か何かでしょっ!」
『ま、待て…童の話を聞けっ!』
聞く耳を持たない玉依に、何度もクワの一撃を食らわされそうになる。
『…しかたないのじゃ。人間にこれはチト、キツかろうが、致し方あるまい!』
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