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泣くほど俺が嫌いか。
そう問うても、やはり彼女は泣くだけだった。
めそめそと女々しく涙を流す暇があるのなら、俺を見ればいいのに。
他人の考えることはわからない。
わからないから、出来る限りに理解しようと努力しているのにも関わらず。
そんな俺が嫌だと泣く。
何故泣くんだ、わからない。
理解させてくれ。
ただ俺が嫌いだと言う。
何故嫌いなのか、と尋ねても、鼻をすすって無言を返すばかりだった。
優しくした、愛した。
彼女の言うことは何でもきいた。
なのに俺が嫌いだなんだと否定するばかりで。
だったら俺なんか産まなきゃよかったんだよ、母さん。
哀れな母はより一層泣いた。
唯一の子供をこの世に誕生させたことを後悔しているのだろうか。
わからなかった。
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