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「志季ちゃんこっちこっち~」
母さんは空いてる二人用の席から、手招きで僕を呼んでいる。
「はいはい」
僕は窓際に座る母さんの隣りに座る。
-プシュゥ
「しゅっぱ~つ♪」
ドアの閉まる音とともに母さんは言った。
「母さん静かに…」
「らんらんらん~志季ちゃんと買い物~」
(聞こえていない…)
どうして父さんは母さんと結婚したのだろうか?
疑問が頭に浮かぶ。
「ねぇ~志季ちゃん」
母さんは上目使いで見てくる。
(嫌な予感がする)
「な、何?」
恐る恐る聞いてみる。
「志季ちゃん…」
いつもマイペースで能天気の母さんが真剣な顔で聞いてきた。
「………何?」
「さっき…杏ちゃんと…メールしてたでしょ…」
母さんは俯きながら言った。
「そ…そうだけど…」
僕は正直に答えた。
「杏ちゃんは…志季ちゃんの事…好き…なのよ…」
「あ…あぁ」
「だから…志季ちゃんは………」
何故か間があく。
この空気が嫌なので僕は口を開いた。
「俺は何なんだよ?」
「ま……ママの事……好き?」
「……………はぁ?」
いきなりさっき言っていた事と関係無い質問をされ、僕は大声で言い返す。
「だから…志季ちゃんはママの事好き?」
(まずい…非常にまずい。何でこんな事聞くんだよ!意味分からん…てか母さんの眼には滴が…あああああぁ)
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