16回目の春

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「志季ちゃんこっちこっち~」 母さんは空いてる二人用の席から、手招きで僕を呼んでいる。 「はいはい」 僕は窓際に座る母さんの隣りに座る。 -プシュゥ 「しゅっぱ~つ♪」 ドアの閉まる音とともに母さんは言った。 「母さん静かに…」 「らんらんらん~志季ちゃんと買い物~」 (聞こえていない…) どうして父さんは母さんと結婚したのだろうか? 疑問が頭に浮かぶ。 「ねぇ~志季ちゃん」 母さんは上目使いで見てくる。 (嫌な予感がする) 「な、何?」 恐る恐る聞いてみる。 「志季ちゃん…」 いつもマイペースで能天気の母さんが真剣な顔で聞いてきた。 「………何?」 「さっき…杏ちゃんと…メールしてたでしょ…」 母さんは俯きながら言った。 「そ…そうだけど…」 僕は正直に答えた。 「杏ちゃんは…志季ちゃんの事…好き…なのよ…」 「あ…あぁ」 「だから…志季ちゃんは………」 何故か間があく。 この空気が嫌なので僕は口を開いた。 「俺は何なんだよ?」 「ま……ママの事……好き?」 「……………はぁ?」 いきなりさっき言っていた事と関係無い質問をされ、僕は大声で言い返す。 「だから…志季ちゃんはママの事好き?」 (まずい…非常にまずい。何でこんな事聞くんだよ!意味分からん…てか母さんの眼には滴が…あああああぁ)
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