16回目の春

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さっき大声を出したせいで、幾つかの視線を感じた。 (これは非常にまずい…この状況で答えるのは厳しい…) 僕はチラッと母さんを見る。 「…うるうる」 無言の訴え。 (泣きたいのは僕の方だっ!) 思わず叫びたくなった。 「…やっぱり…志季ちゃんはママが嫌いなのね~うわぁああぁぁんっ!」 母さんは席を立ち何処かへ走り去ってしまった。 「か…母さんっ!」 周りの家族連れからの冷たい視線が痛い。 仕方なく母さんを追いかけようと席を立ったら、携帯が振動した。 (この振動は…) 僕は人によって携帯のバイブを変えている。 「ちっ…」 僕は軽く舌打ちしメールを見る。 「そちらに新たな『コア』が向かった。何やら自分の力を試したいらしい、周囲に『コア』の存在がバレないように速やかに対応してくれ。ややこしい事になりそうであれば…排除しても構わない。前の様にならぬように」 と、機械的な文での命令。 因みに『コア』とは、特殊な力が体内に有る生物の事を言う。 それは、自分以外の生物の強い願いによりその力は生まれると不可思議生命体研究所(略称『不生研』)の御偉い方は考えている。 その力は様々な能力が有り、ここ数年前から発生し始めた。 ある事件が起こるまでは不生研は設立されておらず、その事件以来コアの存在を否定する者が多く現れた。
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