16回目の春

13/87
前へ
/100ページ
次へ
「残念だったな…19人と同じ結末だ…」 携帯がポケットの中で振動する。 「プルートォですが…」 「どうでした?どうせまた同じ結果でしょう。あとは任せて貴方は戻って良いですよ」 「……………」 「では…週末に又」 と言葉を残してミネルヴァは電話をきった。 「いつ聞いても…嫌な喋り方だ」 僕は空間転移を使い電車内に戻った。 (さぁ…母さんを追いかけないと) 僕は先程母さんが走り去った方向に向かい走りだす。   「ぐすん…ぐすん、ひっく…」 母さんは車両の奥の席に座りながら泣いていた。 「ぶぇ…ぶええぅえぇええん」 ついに声を上げて泣き出した。 僕は騒ぎになる前に急いで母さんの元にかけて行った。 「母さん御免よ…僕は母さんの事…」 「ぐすん…母さんの事?」 「…………」 言葉が詰まってしまう。 「やっぱり…やっぱり~ぶええぅえぇええんん」 「あわわわっ母さんの事…好きだよっ!」 言い切ってしまった。 しかも慌てたせいで大声で言ってしまう。 「あっ………」 周りの家族連れやカップルの視線が僕を捕らえている。 「ひそひそ…」 「ひそひそ…」 そして何か僕を見ながら話している。 (はぁ~疲れる…) 「母さん…さぁ泣かないで。ねっ?」 「うんっ!分かった」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

329人が本棚に入れています
本棚に追加