16回目の春

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「かしこまりました」 男が返事をし、倒れている男を担いだ。 「ミネルヴァ様、行きましょう」 男を軽々と担ぎながら男は言った。 「待って…」 連れてきた部下以外からのコアの力を感じた。 「この力は…」 「どうなさいました?ミネルヴァ様」 私は少し怯えていた。 力を感じるだけでわかる。 私では全く歯が立たない事を… 「皆早くペンタグラムに戻って!」 「はぁ……はっ!」 何とか皆は私が急いでいる事を察し、次々とペンタグラムに戻って行く。 (ま、まさかね…) 私はこの感じる力に覚えがある。 (でも…) 私は一応自分のコアを発動させておく。 「ゴゴゴゴゴッ!」 廃墟がいきなり揺れ始めた。 (来たわね) 廃墟の壁に逆位置のペンタグラムが描かれる。 逆位置のペンタグラムから三人が現れた。 三人とも黒い布で覆われていて、顔はフードで見えない。 「貴方達は…『漆黒の月』ね?」 「おっしゃるとおりです」 真ん中の人が質問に答えた。 「何故?何故…貴方達が又動き始めるの?」 「我等はLiLiS様を探している…」 右側の人が言った。 「言ったでしょう…貴方達の手にはもう渡らないと…」 「ならば…力ずくでも取り換えしてやるよ」 左側の人は喧嘩腰に答えて、三人は逆位置のペンタグラムに消えた。
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