16回目の春

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「…………杏」 「あらら…起きてたの?お兄ちゃん」 そう言いながら妹の杏(あんず)が部屋に入って来た。 「今…目が覚めたんだよ…」 「そう…」 「…?」 杏は少し悲しい表情をした。 「どうした?」 「えっ!…別に…」 「何か…何かあるんだろ?溜め込むのは…」 「好きなの…大好きなの!」 「…はっ?」 杏はそう言って部屋に戻って行った。 (知ってるよ…杏が僕を好きな事も…) 僕はベッドに戻る。 (杏が僕を好きになった理由も…) 僕はそのまま目を閉じ眠りに入った。   (何だ…何処だ…) 僕は海に浮いている様な感覚の中に居た。 (目…開けれるかな?) 僕は恐る恐る目を開けた。 「…っ!」 僕の視界は緑色だった。 それに幾つかのチューブが目の前に映っていた。 (…な…何でっ?) チューブは全て僕の身体に刺さっていた。 (嫌だ…嫌だよ…何で…何でこんな物が…嫌だぁぁぁぁぁぁ!) 僕は精一杯暴れた。 -ガボガボガボ 僕が暴れているのに気付いたのか白衣を着た男の人と女の人がやって来た。 二人は何やら機械を触っている。 (うっ…うわああぁぁぁぁっ!) 急に息が苦しくなり視界がかすんできた。 (な……な…ん……で……?) かすむ視界の中で一人の少女を見た。
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