16回目の春

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  -ドカッ! 「うっ……」 僕は一瞬『く』の字になった。 「うぅぅ…」 「ん?起きた~お兄ちゃん」 腹部には杏が股を広げて座って居た。 当然股を広げているわけだから… 制服姿の杏のチェック柄のスカートは少しめくれていて白と水色のストライプ柄のぱんつが見える。 「うっ…ぱ、ぱんつ見えてるぞ…」 「ん~いいよ♪お兄ちゃんなら」 そう言って杏は僕の胸に頭を置く様に俯せになる。 杏の髪の毛からは甘い匂いがした。 「あ…あの~当ってるんだけど…」 「ん?…何が?」 「大きな手帳みたいなのが…」 そう言うと何故か杏は固まった。 「ん?どうした?」 「お…大きな…手帳…て、手帳…」 「あ…杏?」 「お兄ちゃんの…馬鹿ーーーーーっ!」 杏はそう言って僕の部屋から出て行った。 「…どうしたんだ?」 僕は寝間着からラフな服に着替えて朝食を食べに一階に下りた。 何故制服でないかというと… 新たなる高校生活に備える為の春休み中だからだ。 リビングに行くと可愛い頬を膨らませたまま膝を抱えてTVを見ている杏と… 新聞を見ながら朝食のトーストを食べている父の椋治(けいじ)さん、笑顔でキッチンに立っている母の桃香(とうか)さんが居た。 「お、おはようございます」
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