16回目の春

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「おはよう志季君」 「志季ちゃんおはよぉ~」 「ぷぅ~~」 母さんと父さんは笑顔で答えてくれたが… 妹は返事をせず頬を膨らませたままだ。 「こらこら杏ちゃん駄目よ~」 「ぷぅ~~」 母さんが呼び掛けても変わらない。 (本当に可愛い奴だよ) 「なでなでなで」 僕は杏の後ろに立ち頭を撫でる。 「うっ…うぅ…うっにゃあぁ~」 すぐに杏の顔が綻び猫の様な口になった。 「なでなでなで」 「あらあら~仲良しねぇ~でも…杏ちゃん部活遅刻するわよ~」 「にゃあぁ~…あ…あ…あぁぁっ!」 杏はいきなり立ち上がり椅子に置いてあった鞄を手に取った。 「い…いいい行ってきまぁす!」 「いってらっしゃい~」 「いってらっしゃい」 「ん…頑張れよ…」 杏は143cm(自称148cm)のミニサイズでありながらバスケットボール部に所属していて今は副部長をやっている。 そもそも杏がバスケットボール部に入った理由は僕が男バスの部長をやっていたからだ。 「今日志季ちゃんは一日中家に居るの~?」 「そうだけど…何で?何かあるの?」 母さんは近くまで寄って来て僕の腕を組む。 「ん~新しくオープンしたスーパー行かない~?」 母さんは上目使いに聞いてくる。 母さんは童顔で背丈が150cmなので若く見える為…可愛い。
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